公団というのは、このごろはかなり遠くにしかありませんが、ちょっと前までは安い家賃で、わりと便利なところにありました。そのおかげで、公団に住みついてしまうと、これがなかなか腰が重くなって移るのがむずかしい。10年ぐらい前の話ですけれども、ある会社で、私と同年代の公団に住んでいる社員が、若い社員を批判していました。どういう内容だったかというと、「このごろの若いやつはダメだね、若いくせに家なんか持ちたがって、そのローンに追われちゃって、会社に縛られちゃって、ローンのために働いているような気分で、仕事も思い切ってやれないし、まるで会社の奴隷だ。あんな無気力なサラリーマンになったんじゃ、将来が思いやられるよ」自分のことを棚にあげて、人のことをこういっているのです。ところが、いまになってみると、安い家賃で公団にずっと住んで、家を持つ気もなく、適当にノラリクラリとやってきた連中が、「オレもいつまでも公団にいたんじゃなあ。子どもも高校生になったし、家でも買うか」こう思ったときには、自分に見合った家は高くて手が出ません。なんていうことはない。昔、バカにして笑っていた後輩は、これまで苦労してきたけれども、早く家を手に入れたから、その家や土地が買ったときの何倍にも上がっている。かつて、「ローンのために会社に縛られて、仕事も思い切ってできない」なんていわれてたほうが、いまや家があるだけに精神的な安定があって、会社でもゆうゆうと仕事をしているのです。逆に公団で楽をしていた先輩社員はすっかり焦ってしまい、仕事にも身が入らないという話が実際にあります。この他にも、いろいろなケースを私はたくさん見てきましたが、その結果いえることは、いつの時代でもマイホームは早く手に入れるほうがトクで、「そのうちにそのうちに」と思っていると、マイホームはなかなか自分のものにならないということです。ましてや、社宅とか公団とか、条件のいいところで、とりあえず“仮”のマイホームが持ててしまうと、本当のマイホームを人手するチャンスを遠ざけるということは、絶対にいえますね。
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