「では、ご主人さん、今回はこの用紙にサインと捺印をしてください。難しく考えることはありません。とりあえず書いていただければいいのです」何を書かせようとしているのでしょうか?実は、契約書なのです。「契約ってなんの説明もせずに印鑑を押させるなんて、詐欺じゃないか!」そう、ほとんど詐欺の世界です。普通では考えられません。しかし、住宅業界では、この手の悪質なセールスがとても多いのが実情です。しかも大手ハウスメーカーの営業マンも平気な顔してやっているというから驚きです。では、なぜトラブルを引き起こすようなことをわざわざやるのでしょうか?そこには、営業マンがそうやらざるを得ない深い事情があるのです。営業という仕事には、普通ノルマがあります。彼らは毎月、獲件した契約故を会社に報告しなければならない。大手ハウスメーカーの中には、3ヵ月連続でゼロ契約の社員は、その時点で首になるというところもあるそうです。逆に成績のいい営業マンは、20代でも1000万円ほどの給料をもらう。いうなれば、自分の人生が一つひとつの契約にかかっている。営業マンは月末になると、その月に取った契約の星勘定をはじめます。「今月は1件か…。やばいな」ノルマが2件だとすれば、何がなんでもあと1件をとりに奔走します。そしてどうしてもとれないと、冒頭に紹介した詐欺まがいの方法をやらざるを得ないわけです。つまり、お客さんの同意を得られなくても、仮契約書だけを上げておけば、その月のノルマは達成できる。本当の契約は、次の月にそのお客さんを説得してとればいいのです。まじめな営業マンであれば、このような小手先の方法を使わずに、正々堂々とお客さんにぶつかります。契約するまで帰らない、ひたすら頭をついてお願いする、泣き落とす、いろいろな作戦があります。そして多くのお客さんが根負けして契約してしまいます。私は、「ちょっと、待って?」と言いたくなります。営業マンにせかされて契約書にハンコを押すことほど危険なことはありません。なぜなら、後々何かのトラブルが起きた場合、契約書に書かれている内容に基づいて、解決されることになるからです。「あの時は営業マンにせかされてハンコを押してしまったのです。私は何も知らなかったのです」こんな主張は認められません。あなたが契約書の内容を確認することもなく、ただ言われたままに署名捺印するのであれば、まったく不利な立場で争わなければならないのです。
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